KIGOLF創設の物語:私の孤独な探究の果てに見出した「構造」と「共有」のゴルフ哲学

 

私が主宰する「KIGOLF」は、単なるゴルフスクールや理論の場ではありません。

それは、私自身の壮絶な探求と試行錯誤の末に辿り着いた、個々のゴルファーが持つ「身体構造」の理解を最優先し、「その人に合った正解」を見つけ出すことを目的とした「共創の場」であり「探究の道場」です。

その設立背景には、私の孤独な戦い、理論への深い造詣、情報発信における葛藤、そして「共有」という新たな価値観への目覚めがありました。

独学、挫折、そして「身体構造」という核心への到達

私は、誰にも師事することなく独学でゴルフを学びプロの道を切り開きました。しかし、ツアーの世界で周囲の「綺麗なスイング」を目の当たりにし、「これが正解なのだ」と自身のフォームをゼロから作り直そうと決意しました。5年の歳月をかけて“お手本のようなスイング”を追い求めましたが、待っていたのはパフォーマンスの低下と迷いの渦でした。

その後、米国の「The Golfing Machine(TGM)」をはじめとする数多の理論を10年にわたり研究し、理論的には完璧な型を身につけました。しかし、それでも「しっくりこない」感覚は拭えず、飛距離も再現性も伴いませんでした。転機となったのは、マイク・アダムス氏との出会いです。

彼の「バイオスイングダイナミクス(BioSwing Dynamics)」によるスクリーニングを受け、私の身体構造が「カバー型」でありながら、長年「アンダー構造」向けのスイングを追い求めていたという衝撃の事実に気づいたのです。

「理論が間違っていたわけではない。 “構造”が合っていなかっただけだった」。この気づきが、KIGOLF理論の原点となりました。

選手生命という「若さ」を研究と実験に捧げた結果、私は「正しい理論でも、自分に合わなければ結果は出ない」という本質的な真実を身体を張って証明し、両構造を「体感で語れる」稀有な存在となったのです。

情報発信の試みと葛藤、そして独自のスタイル確立

シンガポールに15年在住し、最先端のゴルフ理論に触れる環境にあった私は、その知識を日本に届けたいと考え、YouTubeで情報発信を行っていました。チャンネル登録者は1万人を超え、多くの方に高評価をいただいておりましたが、ある時から異変が起こります。

私が時間と労力をかけて検証・構成したコンテンツが、数週間後には表面だけをなぞった“簡略版”として模倣され横流しされるようになったのです。

「良い理論でも、本質が伝わらないまま、拡散されて消費されていく恐ろしさ」を感じ、私は2014年にYouTubeでの直接的な情報発信を停止しました。

それでも、「本質を求める人が確かに存在していた」ため、完全に発信をやめることはできませんでした。私は発信スタイル、媒体をを転換。「言葉に霧をかける」ように、あえて曖昧な言い回しや英語を交え、構造と権利原則を理解していない人には読み取れないような形式で、本質が「見える人にだけ伝わる」ように発信を続けたのです。

この独特な発信は、「情報を守る」と同時に「伝えたい」という私のせめぎ合いの中から生まれました。

驚くべきことに、その「霧の中の言葉」の奥にある本質を見抜く人々が現れます。

プロゴルファー、競技者、そして一通りの理論を学び尽くした「理論難民」たちです。

彼らは「この人は何か違う」「言葉の奥に、何かがある」と感じ、私を「エバンジェリスト」と呼び、セカンドオピニオンを求めて集まるようになりました。



この積み重ねは、2019年のゴルフダイジェスト・レッスン・オブ・ザ・イヤーノミネートという評価にも繋がります。

KIGOLFは、こうした経験から「理論難民にとっての最後の場所でありたい」という強い願いを込めて設立しました。

「簡単にうまくなる場所」ではなく、「スイングがなぜ合わないのか」「その人にとっての“構造と支点”が何なのか」を一つひとつ解き明かし、「自分の答え」を見つける場所。

私の役割は、ツアーコーチやトレーナーからも相談される「構造設計者」として、「答え」ではなく「地図」を渡すことだと考えています。

繰り返される模倣と「本質」への揺るがぬ信念

KIGOLFを通じて本質を伝え続ける中でも、私が提唱した商品や考え方、理論を模倣して商売に利用しようとする人々は後を絶ちません。

日本の「模倣文化」にもどかしさを感じつつも、「模倣され、盗まれることがあっても、真摯に発信することには本当に価値がある」と確信し、怒ったり戦ったりすることなく、むしろ「私の発信が届いた証拠であり、何かを成し遂げた証」と捉えています。

そして、「原理を学びたい」と心から願う人々、「自分自身の体で理論を実践し、深く理解する」ことを目指す人々のために、発信を続ける決意を新たにしています。

「共有」という新たな境地へ

長らく「本質を求める人にだけ届けばいい」という哲学を貫いてきた私ですが、2024年、タイへ向かう飛行機の中で読んだ一冊の本が新たな扉を開きました。

「国家間の技術開発は、競争よりも“協力”の方が早く、深く、効果的である」という一節に触れ、私が30年以上かけて築き、時には守り、隠してきたKIGOLF理論や知識、経験を「守るよりも、共有しよう。奪われることを恐れるより、共に育てていこう」と考えるに至ったのです。

この「共有の価値」への目覚めは、かつて「自分だけが知っていれば良い」と考えていた価値観からの大きな転換でした。

この新たな視点から、私は自身のゴルフ理論や哲学を、直接指導するだけでなく、他の指導者たちに伝えていくことで「自分の分身(イズム)」を擬似的に生み出し、時間的・場所的な制約を超えて理論を広めていくことの重要性を認識しています。

KIGOLFが目指すもの

KIGOLFは、私の長年の孤独な探求、深い洞察、そして絶え間ない自己変革の物語そのものです。それは、万人に同じスイングを押し付けるのではなく、一人ひとりの「身体構造」を尊重し、その人に合った「真の正解」を共に見つけ出す「共創の場」。

模倣や誤解、商業主義が蔓延しようとも、本気で学びたい人に、構造を示し続ける「道場」であり、かつての私自身のように迷い、苦しみ、遠回りしてきた人々が「自ら答えを導き出せる場所」となることを目指しています。

そして今、「共有する」という姿勢を通して、私の探求はさらに広がりを見せ始めています。理論を囲い込まず、共に育て、分かち合うこと。それこそが、KIGOLFが目指す新しい学びのかたちです。





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